吹替偉人伝

バッドボーイズ [吹替版]
金曜よる11時頃

実力派声優による名吹替がよみがえる。 初めて観た吹替洋画は何だったろう。あの頃、吹替の名優がスターを作り上げ、映画の楽しみを教えてくれた。吹替の偉人たちに敬意を込めて、吹替の名画をお届けします。

『バッドボーイズ [吹替版]』ほか

5月の放送作品

『バッドボーイズ[吹替版]』 シリーズ2作品 一挙放送

  • バッドボーイズ [吹替版]
    吹替偉人伝:山寺宏一
    エディ・マーフィ、ジム・キャリー、ブラッド・ピット、トム・ハンクス…。名前を上げればきりがないほど数多くの俳優の声を務める山寺宏一は、まさに「七色の声を持つ男」。

    5月5日(金)21:00~

    バッドボーイズ [吹替版]

    1995年 アメリカ
    監督:マイケル・ベイ
    出演:マーティン・ローレンス(山寺宏一)/ウィル・スミス(菅原正志)

    『トップガン』『ビバリーヒルズ・コップ』を生んだスタッフが結集。ウィル・スミス、マーティン・ローレンス主演の大ヒットアクション・ムービー。山寺宏一による吹替版。

  • バッドボーイズ2バッド [吹替版]

    5月5日(金)23:15~

    バッドボーイズ2バッド [吹替版]

    2003年 アメリカ
    監督:マイケル・ベイ
    出演:マーティン・ローレンス(山寺宏一)/ウィル・スミス(菅原正志)

    ウィル・スミスとマーティン・ローレンス共演の『バッドボーイズ』の続編。マイアミ市警の敏腕刑事コンビ、マイクとマーカスが再び大暴れをする。山寺宏一による吹替版。

新旧『サブウェイ123』 2作品 2週連続放送

  • サブウェイ・パニック [吹替版]
    吹替偉人伝:富田耕生
    アーネスト・ボーグナイン、リー・J・コッブ、ロッド・スタイガーを専属で務める。声優歴は50年以上におよび、洋画の吹替えは1万作以上にもなるという、偉人中の偉人。

    5月12日(金)23:00~

    サブウェイ・パニック [吹替版]

    1974年 アメリカ
    監督:ジョセフ・サージェント
    出演:ウォルター・マッソー(富田耕生)/ロバート・ショウ(中村正)

    白昼、NYの地下鉄をハイジャックし大金を要求した4人組と捜査官の息詰まる駆け引きを描いた犯罪サスペンスの傑作。W・マッソー、R・ショウ出演。富田耕生による吹替版。

  • サブウェイ123 激突 [吹替版]
    吹替偉人伝:山路和弘
    俳優として舞台や映画、ドラマに出演する一方、持ち役のジェイソン・ステイサムをはじめ洋画吹替えも多数こなす。

    5月19日(金)23:00~

    サブウェイ123 激突 [吹替版]

    2009年 アメリカ
    監督:トニー・スコット
    出演:デンゼル・ワシントン(石塚運昇)/ジョン・トラヴォルタ(山路和弘)

    過去に2度映画化されたジョン・ゴーディの犯罪小説「サブウェイ・パニック」をデンゼル・ワシントン、ジョン・トラヴォルタ主演で再映画化。石塚運昇による吹替版。

  • 16ブロック [吹替版]
    吹替偉人伝:内田直哉
    舞台『レ・ミゼラブル』で初代アンジョルラス役を務めるなど舞台で活躍した後、ブルース・ウィリスなどを持ち役とする吹替え声優として人気を確立した、異色の経歴の持ち主。

    5月26日(金)23:30~

    16ブロック [吹替版]

    2006年 アメリカ
    監督:リチャード・ドナー
    出演:ブルース・ウィリス(内田直哉)/モス・デフ(檀臣幸)

    ブルース・ウィリスがくたびれた中年刑事を好演したサスペンス・アクション。簡単な証人護送任務が命懸けの逃避行へ姿を変える。内田直哉による吹替版。

吹替マニアのおじさんによるコラム
ムンムンするぜ、オトコだらけのアクション5連発!
笑いアリ、渋さアリ、セクシーさアリの、これぞまさしく吹替オトコ祭りだ!!

まずは、ウィル・スミス×マーティン・ローレンス、対照的なキャラの二大黒人スター競演の傑作バディムービー、『バッドボーイズ[吹替版]』とその続編『バッドボーイズ2バッド[吹替版]』が登場。

ずんぐりむっくり体型につぶらな瞳でガンガンまくしたてる人気コメディアン、マーティン・ローレンスを吹き替えるのは、無限大の「声」と「顔」を持つ、変幻自在の天才・やまちゃんこと山寺宏一。山寺は、今更クドクドと説明するまでもなく、トップ・オブ・ザ・トップの現役スーパースター声優にしてマルチタレントである。艶のあるバリトンで黒人スターを吹き替えることが多く、エディ・マーフィからはじまるしゃべくりコメディー系では澱みなく発射されるマシンガントークを炸裂させ、デンゼル・ワシントン、ウェズリー・スナイプスなどのヒーロー系ではお笑い抜きでストレートな二枚目に徹する。白人スターでも、ブラッド・ピット、トム・クルーズ、トム・ハンクス、チャーリー・シーン、マイケル・J・フォックスなどの正統派から、クレイジーなジム・キャリー、マイク・マイヤーズ、クールなマッチョ系アクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムまで、まさに無限大のバリエーション。一方山寺は、ディズニー作品をはじめとするアニメでも様々なキャラクターを担当しているが、ドナルド・ダックやスティッチ、あるいは『それいけ!アンパンマン』のめいけんチーズなどセリフより鳴き声やわめき声中心の非人間キャラを巧みに演じこなす特殊技能の持ち主もある。さらには、ラジオパーソナリティー、ナレーター、『おはスタ』MC、歌手、俳優としての映画・ドラマ出演、ものまねタレント…一体何が本業なのかわからないほど活動の幅は無限大に広がる。しかし、決して器用貧乏にはならず、どのジャンルにも真剣に取り組んで確実に実績を残し、一定の地位を保ちつつバランスよくそしてパワフルに活動を続ける稀有な存在である。
脂が乗り切った山寺宏一の名人芸を、とくとご賞味あれ!

さて、続いては、ハードボイルド犯罪アクションの秀作『サブウェイ・パニック[吹替版]』と、そのリメイク版『サブウェイ123 激突 [吹替版]』。
『サブウェイ・パニック[吹替版]』で主役のニューヨーク市交通警察のボスを演じたウォルター・マッソーを吹き替えるのは、吹替界「3大名バイプレーヤー」の筆頭格・富田耕生である。ドスのきいたしゃがれ声に熟練したセリフ回しで、TVシリーズ『地上最強の美女たち!/チャーリーズ・エンジェル』のボスレーのような可笑しくてとぼけたオッサンや、『ロッキー』シリーズのポーリー役バート・ヤングのような味のある頼れるオヤジを得意とする偉人だが、今回のウォルター・マッソーのように渋くて貫禄のある役柄でも、この偉人バイプレーヤーの吹替は見事に光り輝く。味のある頼れるオヤジにギラッとしたアクが加わるとアーネスト・ボーグナインに、渋さと貫禄が極まるとリー・J・コップやエドワード・G・ロビンソン、それに『夜の大捜査線』のロッド・スタイガーに、声の芸域が果てしなく広がっていくあたりも、この偉人ならではである。アニメの世界でもやはり名バイプレーヤーとして名を馳せているが、『天才バカボン』では主役のパパを、同じく「3大名バイプレーヤー」の一人・雨森雅司から引き継いで演じている。また、バラエティ『あっぱれさんま大先生』のアニメキャラクター・わしゃガエルでは、明石家さんまと絶妙の掛け合いを披露した。
続いてのリメイクバージョン『サブウェイ123 激突 [吹替版]』で悪のヒーロー役ジョン・トラボルタを吹き替える山路和弘は、渋いセクシーボイスの現役凄腕達人である。劇団青年座に所属し、舞台やTVドラマなどで手堅い脇役俳優としても活躍している。爆走型アクションスター、ジェイソン・ステイサムを、そのデビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』以来専任で担当しているほか、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、ショーン・ペン、ウィレム・デフォー、ヴァル・キルマーと、いずれ劣らぬオトコクサい面々を一手に引き受けて大活躍中。本作以外でも、主に中年以降演技派になってからのジョン・トラボルタを、度々吹き替えている。
山路が担当するスターたちは総じて低音でボソボソ喋るイメージが強いが、舞台で鍛え上げた山路の「技」は、一つ一つのセリフを明瞭に視聴者の耳に届ける。これぞ、山路が凄腕の達人たるゆえんだ。

最後に登場するのは、ブルース・ウィリス主演『16ブロック [吹替版]』。ブルース・ウィリスを吹き替えるのは、前述の山路和弘と同じ現役のベテラン達人・内田直哉。子供向け戦隊シリーズ『電子戦隊デンジマン』ほかTVドラマを中心に活動後、ミュージカル俳優として数々の舞台に立っていたが、名作『レ・ミゼラブル』の日本初演で圧倒的な歌唱力を必要とする大役アンジョルラスに選ばれて熱演し、一気に名を上げた。その後、40歳を過ぎてから声優としても活躍するようになり、『アルマゲドン』など『ダイ・ハード』シリーズ以外のブルース・ウィリス、ヴァンサン・カッセル、アンディ・ガルシア、ウディ・ハレルソン、専任ではないが『風と共に去りぬ』クラーク・ゲイブル、『インディ・ジョーンズ』シリーズのハリソン・フォード、TVシリーズ『ER 緊急救命室』のロマノ役ポール・マクレーンなど代表作多数。内田もまたオトコっぽいスターたちを得意とするが、山路同様舞台仕込みのセリフは、早口だろうと乱暴だろうとやはり耳に心地良い。

今回メインでご紹介した4人のほかにも、『バッドボーイズ[吹替版]』『バッドボーイズ2バッド[吹替版]』では相方のウィル・スミスで菅原正志(ウェズリー・スナイプスの吹替やJ-WAVEのパーソナリティーとして有名な現役達人)、『サブウェイ・パニック[吹替版]』ではロバート・ショーで中村正(デヴィッド・ニーヴン、ケイリー・グラントなど紳士系スターの吹替で知られる大御所)、『サブウェイ123 激突 [吹替版]』ではデンゼル・ワシントンで石塚運昇(ケヴィン・スペイシーなどで大ブレイク中の売れっ子達人)などなどオトコたちが満載、満開の5月だ。
そこで、結びに一言、
『オトコの中のオトコたち、出てこいや-!!』


(以上、敬称略)


文=イマジカBS所属・吹替マニアのおじさん

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6月の放送作品

6/2(金)は特別編成 「1週間まるごとイーストウッド」

  • グッドフェローズ [吹替版]
    吹替偉人伝:平野文
    『うる星やつら』のラム役で声優デビューを果たす。声優だけにとどまらず、ラジオに吹替えに執筆活動と、多彩な能力を持つ。

    6月9日(金)23:00~

    グッドフェローズ [吹替版]

    1990年 アメリカ
    監督:マーティン・スコセッシ
    出演:レイ・リオッタ(安原義人)/ロレイン・ブラッコ(平野文)

    『タクシードライバー』などの名匠マーティン・スコセッシ監督が、実在した人物をモデルにマフィアの実態を描いたドラマ。安原義人による吹替版。

  • テルマ&ルイーズ [吹替版]
    吹替偉人伝:塩田朋子&佐々木優子
    塩田朋子は映画やドラマの吹替えを多く務め、エマ・トンプソンやケイト・ブランシェットなど、強い女性の声を得意とする。佐々木優子は放送開始当初から務めている『ちびまる子ちゃん』のおばあちゃん役をはじめ、アニメでは子供から老人までを演じ分ける。吹替えではダイアン・レインやジュリア・ロバーツなどの声を多くあてている。

    6月16日(金)22:45~

    テルマ&ルイーズ [吹替版]

    1991年 アメリカ
    監督:リドリー・スコット
    出演:スーザン・サランドン(塩田朋子)/ジーナ・デイヴィス(佐々木優子)

    平凡な主婦とウェイトレスの気軽な週末旅行が逃避行へと化すリドリー・スコット監督のバイオレンス・ロードムービー。塩田朋子による吹替版。

  • 羊たちの沈黙 [吹替版]
    吹替偉人伝:堀勝之祐
    役者としてデビューし、声優としても吹替え草創期から活躍する。アラン・ドロンやキア・デュリア、チャールズ・ダンス、デニス・ホッパーなど、吹替えた作品は数知れず。最近では『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のジョン・ヴォイトが記憶に新しい、現役の偉人。

    6月23日(金)23:00~

    羊たちの沈黙 [吹替版]

    1991年 アメリカ
    監督:ジョナサン・デミ
    出演:ジョディ・フォスター(佐々木優子)/アンソニー・ホプキンス(堀勝之祐)

    アカデミー賞5部門を制したサイコ・スリラーの大傑作。FBIの訓練生クラリスが、天才殺人鬼レクター博士の協力を得ながら謎の猟奇殺人犯を追う。堀勝之祐による吹替版。

6/30(金)は特別編成『ロッキー』日本公開40周年記念特集


吹替マニアのおじさんによるコラム
『うる星やつら』のラムちゃんでお馴染み・平野文に、
塩田朋子×佐々木優子、現役の女性実力派夢の対決!
そしてそして、今なお現役で活躍する偉人・堀勝之祐の登場だ!!

名匠マーティン・スコセッシが実在のニューヨーク・マフィアを描いた秀作『グッドフェローズ[吹替版]』で、主人公の妻役ロレイン・ブラッコを吹き替える平野文は、『うる星やつら』のラムちゃんで一世を風靡したアニメ界のビッグスター。

子役を経て、文化放送の深夜番組『走れ!歌謡曲』などでラジオDJとして活動後、『うる星やつら』でいきなり主役デビューを果たすという幸運な経歴の持ち主である。愛らしいキャラクターとセクシーな容姿のラムちゃんは絶大な人気を得、不思議な言葉使いとエロ可愛い声でラムちゃんに命を吹き込んだ平野文も一躍人気アニメ声優となり、以後ラムちゃんは平野にとって生涯の持ち役になる。平野はまた、『スーパーマン III/電子の要塞』のロイス役マーゴット・キダー、『ブルースチール』のジェイミー・リー・カーティス、『デッドフォール』のテリー・ハッチャー、TVシリーズ『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』のジョディ役ヘザー・トーマスなどその個性的な声を生かして吹替でも活躍。ナレーターとしても『平成教育委員会』はじめ様々な情報・ドキュメンタリー番組を担当し、現在に至るまで精力的に活動を続けている。ほかにも、ラムちゃん人気の勢いに乗って歌手として「ラムのバラード」ほか数々のシングル、アルバムをリリースしたり、エッセイストとして本を出版したりと、長年にわたって多才ぶりを発揮してきた。
ラムちゃんではない、吹替声優・平野文を、本作ではじっくりご覧いただきたい。

続くは、衝撃的なクライム・ロードムービーとして大ヒットしたリドリー・スコット監督の『テルマ&ルイーズ[吹替版]』。強烈な個性を放つ主役のコンビ、スーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスを吹き替えるのは、現代吹替界で双璧を成す実力派の女性達人・塩田朋子佐々木優子だ。二人揃って数えきれないほどのスター女優を吹き替えてきているが、さすがは現役の実力派同士、担当スターが重なるケースも多々ある。たとえば、本作では塩田朋子=スーザン・サランドン、佐々木優子=ジーナ・デイヴィスという組合せだが、『プリティ・リーグ』『靴をなくした天使』などでは塩田がジーナ・デイヴィスを吹き替えているし、佐々木がスーザン・サランドンを担当している作品も数本存在する。ダイアン・レインを筆頭に、ジュリア・ロバーツ、ミシェル・ファイファーなどは塩田、佐々木共通の担当スターで、両者とも度々吹き替えている。
ということで、それぞれを少し詳しくご紹介すると...塩田朋子は、新劇の老舗・文学座所属の舞台女優でもあり、現役声優としては珍しく活躍の場をほぼ吹替一本に絞っている。ケイト・ブランシェット、エマ・トンプソン、レネ・ルッソ、フランシス・マクドーマンド、メリル・ストリープなど演技派の美女たちを、どんな役柄であっても巧みな技をもって鮮やかに吹き替える。専任ではないが『カサブランカ』のイングリッド・バーグマン、『ボディガード』のホイットニー・ヒューストンなとでも、塩田の達人技は冴えわたる。
一方の佐々木優子は、可憐さにほのかな色気の漂う声と軽快なセリフ回しで、メグ・ライアン、リー・トンプソン、マリサ・トメイ、ソフィー・マルソー、ヘレナ・ボナム・カーター、ロビン・ライト、アシュレイ・ジャッドと個性豊かな女優たちを吹き替えてきた。こちらはアニメの世界でも、少年から老女までを幅広く演じこなす名声優として活躍。特に有名なのは『ちびまる子ちゃん』のおばあちゃん・さくらこたけ役で、放送開始以来現在まで27年間担当し続けている。
二大女性達人が、開き直ったかのように暴れ回る『テルマ&ルイーズ[吹替版]』は、見ごたえ抜群の傑作である。

さて、翌週放送される『羊たちの沈黙[吹替版]』では、ヒロインのクラリス役ジョディ・フォスターで佐々木優子が連続登板する(ついでながら続編『ハンニバル』のクラリス役ジュリアン・ムーアはなんと塩田朋子!)が、その相手役ハンニバル・レクター博士役アンソニー・ホプキンスを吹き替えるのは本稿初登場の現役偉人・堀勝之祐である。堀は、俳優としてTVドラマや舞台への出演も多いが、黎明期から吹替の第一線で活躍を続けている偉人。かつては野沢那智に続くもう一人のアラン・ドロン専任として、『山猫』『さらば友よ』『地下室のメロディー』など多くの作品でドロンを吹き替えた。野沢より朴訥だが、どこかもろくてナイーブで、不思議な男の色気を醸し出す堀=ドロンは、野沢=ドロンとは確かに違うもう一つ別のアラン・ドロンの魅力を引き出す。たった3本の主演作のみを遺し若くして亡くなった伝説のスター、ジェームズ・ディーンは、『エデンの東』と『ジャイアンツ』を野沢、『理由なき反抗』を堀が吹き替えたが、ここでも堀は、見る側が求めているであろうジェームズ・ディーンらしさを見事に表現することに成功し、堀自身にとっても代表作となる伝説の日本語吹替版を生み出した。ちなみに、アラン・ドロンの出世作『太陽がいっぱい』吹替版には、野沢=ドロンに対し堀=モーリス・ロネというバージョンがあり、珍しいバターンの2大ドロン競演を見ることができる。
堀はほかに、インディ・ジョーンズでもハン・ソロでもないハリソン・フォード、『2001年宇宙の旅』『2010年』のディスカバリー号船長役ケア・デュリア、中年以降のジョン・ヴォイト、さらにいずれも専任とは言いがたいが、ウィリアム・ハート、ロバート・デ・ニーロ、リーアム・ニーソン、ハーヴェイ・カイテル、スコット・ウィルソン、チャールズ・ダンスなど主演級からバイプレーヤーまでバラエティー豊かな面々を頻繁に吹き替え、現在も活躍中である。
『羊たちの沈黙[吹替版]』は、アンソニー・ホプキンスが怪演する冷酷で狡猾で粘着質な天才異常者レクター博士を、今や残り少なくなってしまった現役の吹替偉人・堀勝之祐がその技を駆使して挑んだ、必見の逸品だ。


(以上、敬称略)


文=イマジカBS所属・吹替マニアのおじさん

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