吹替偉人伝

ロボコップ(1987)[吹替版]
金曜よる11時頃

実力派声優による名吹替がよみがえる。 初めて観た吹替洋画は何だったろう。あの頃、吹替の名優がスターを作り上げ、映画の楽しみを教えてくれた。吹替の偉人たちに敬意を込めて、吹替の名画をお届けします。

『ロボコップ(1987)[吹替版]』ほか

3月の放送作品

  • ゴッドファーザーPART III [吹替版]
    吹替偉人伝:野沢那智
    「役者そのものではなく、その人が映画の中で表現したいものを、日本語で表現している」と語り、アラン・ドロン、アル・パチーノ、ブルース・ウィリスなど世界の名優の吹き替え担当として長年にわたり活躍した、まさに“吹替”の達人。

    3月3日(金)23:00~

    ゴッドファーザーPART III [吹替版]

    1990年 アメリカ
    監督:フランシス・フォード・コッポラ
    出演:アル・パチーノ(野沢那智)/ダイアン・キートン(鈴木弘子)

    暗黒街に君臨するマフィア・コルレオーネ家の半世紀に及ぶ壮大なドラマを綴ったシリーズ最終章。ファミリーのドン、マイケルの晩年を描く。野沢那智による吹替版。

  • ロボコップ(2014) [吹替版]
    吹替偉人伝:安原義人
    コミカルで軽妙な語り口で、ゲイリー・オールドマンやビル・マーレイ、ロビン・ウィリアムズ、リチャード・ギアなど名立たる名優の声を吹替える。現役で活躍を続ける“偉人世代”の生き残り。

    3月24日(金)23:15~

    ロボコップ(2014) [吹替版]

    2014年 アメリカ
    監督:ジョゼ・パヂーリャ
    出演:ジョエル・キナマン(中尾一貴)/ゲイリー・オールドマン(安原義人)

    1987年公開の大ヒットSFアクションのリメイク版。勤務中に瀕死の重傷を負い、サイボーグとなってよみがえった警官がたどる過酷な運命を描く。中尾一貴による吹替版。

『ロボコップ[吹替版]』3作品一挙放送

  • ロボコップ(1987) [吹替版]
    吹替偉人伝:磯部勉
    大河ドラマや舞台で俳優として活躍する一方、ハリソン・フォードやジョージ・クルーニー、メル・ギブソンなど数多くの声優も務める、名バイプレーヤー。男が憧れるスター俳優の吹替えを得意とする。

    3月31日(金)21:00~

    ロボコップ(1987) [吹替版]

    1987年 アメリカ
    監督:ポール・ヴァーホーヴェン
    出演:ピーター・ウェラー(磯部勉)/ナンシー・アレン(小宮和枝)

    殉職した警官が“ロボコップ”としてよみがえり熾烈な戦いを繰り広げるSFバイオレンス・アクション。監督はポール・ヴァーホーヴェン。磯部勉による吹替版。

  • ロボコップ2 [吹替版]
    吹替偉人伝:磯部勉
    大河ドラマや舞台で俳優として活躍する一方、ハリソン・フォードやジョージ・クルーニー、メル・ギブソンなど数多くの声優も務める、名バイプレーヤー。男が憧れるスター俳優の吹替えを得意とする。

    3月31日(金)23:00~

    ロボコップ2 [吹替版]

    1990年 アメリカ
    監督:アーヴィン・カーシュナー
    出演:ピーター・ウェラー(磯部勉)/ナンシー・アレン(小宮和枝)

    半分人間、半分機械の警官“ロボコップ”の活躍を描くSFアクション第2弾。ロボコップと新たに開発されたロボコップ2号の死闘を描く。磯部勉による吹替版。

  • ロボコップ3 [吹替版]
    吹替偉人伝:磯部勉
    大河ドラマや舞台で俳優として活躍する一方、ハリソン・フォードやジョージ・クルーニー、メル・ギブソンなど数多くの声優も務める、名バイプレーヤー。男が憧れるスター俳優の吹替えを得意とする。

    3月31日(金)深夜1:00~

    ロボコップ3 [吹替版]

    1993年 アメリカ
    監督:フレッド・デッカー
    出演:ロバート・バーク(磯部勉)/ナンシー・アレン(小宮和枝)

    近未来のデトロイトを舞台に、驚異的な能力を持つサイボーグ警官“ロボコップ”の活躍を描くSFアクションの第3弾。ロバート・バーク主演。磯部勉による吹替版。

吹替マニアのおじさんによるコラム
野沢那智=アル・パチーノ、安原義人=ゲイリー・オールドマン、磯部勉=ロボコップ。今月は、文句ナシの超ド定番メニューで勝負!

トップランナーとして長らく吹替文化の発展を牽引してきた、偉人の中の偉人・野沢那智

2月の『ゴッドファーザー[吹替版]』『ゴッドファーザーPARTⅡ[吹替版]』では、森川智之によるニュージェネレーション版のアル・パチーノをお楽しみいただいたが、ラストの『ゴッドファーザーPARTⅢ[吹替版]』はやはり真打・野沢那智の名吹替で締めくくりたい。父の跡を継いでマフィアのドンになるという過酷な運命を背負い、優しさや情愛などごく普通の人間としての感情を敢えて押し殺し、非情かつ非道に生きる道を選んだアル・パチーノ扮するマイケル・コルレオーネ。愛と理性と正義感に満ちた一人の青年が、マフィアの世界に身を置く覚悟を決め徐々に変貌を遂げていく姿を描いた『ゴッドファーザー』。偉大な父の影に囚われながらもドンとして確固たる地位を確立していく中で、大切なものを次々に失っていくマイケルの孤独と哀しみが胸に刺さる『ゴッドファーザーPARTⅡ』。そして、ファイナルの『ゴッドファーザーPARTⅢ』では、すでに老境に入り現役を退かんとするマイケルが…。光と闇、希望と絶望、静と動が、微妙に交錯するマイケル・コルレオーネの「最終章」。鬼気迫るアル・パチーノの熱演に、野沢那智の至芸ともいえる吹替がもう一つの魂を吹き込む。『ゴッドファーザーPARTⅢ[吹替版]』はシリーズ3部作の集大成であるとともに、野沢=パチーノの集大成でもあるのだ。

今月は更に、伝説のSFアクション映画『ロボコップ』を大特集。2014年のリブート版、続いてオリジナルシリーズ3作品の一挙放送をお届けする。
2014年版『ロボコップ[吹替版]』で最も注目すべきは、ロボコップの生みの親であるノートン博士役ゲイリー・オールドマンを吹き替える安原義人であろう。安原は、熊倉一雄、納谷悟朗、山田康雄ら多くの吹替偉人を輩出した劇団、テアトル・エコー所属で、山田康雄とは色々な面で師弟関係だったという。若々しく軽やかな声質と師匠譲りのアップテンポな語り口で二枚目からクセ者系まで幅広くこなす、60代後半の今も現役で活躍する希少な偉人である。二枚目の持ち役だけでも、メル・ギブソン、リチャード・ギア、ミッキー・ローク、ケヴィン・ベーコン、トム・ハンクスなどバラエティー豊かだが、クセ者系になるとゲイリー・オールドマンを筆頭に、ビル・マーレイ、ロビン・ウィリアムズ、ウディ・ハレルソン、ジーン・ワイルダー、ダニエル・スターン、ダドリー・ムーアとこれまた多彩な顔ぶれが並ぶ。安原=オールドマンが醸し出す、「どうも何か裏がありそう」な独特の妖しさを体感いただきたい。 さて、オリジナルシリーズの『ロボコップ[吹替版]』『ロボコップ2[吹替版]』『ロボコップ3[吹替版]』では、主役のロボコップことアレックス・マーフィ役を、ハリソン・フォードの専任としても有名な実力派の達人・磯部勉が吹き替えている。ロボコップを演じる俳優が『2』まではピーター・ウェラー、『3』ではロバート・バークに代わっているが、今回の一挙放送ではあくまでも鉄板コンビ・磯部=ロボコップに拘ってみた。ロボコップは、サイボーグゆえに、機械としての使命とかつて人間だった時の感情との間で葛藤するという難しい役柄だが、達人・磯部は巧みな技をもって、ドラマチックで説得力ある上質な吹替版に仕上げている。 ロボコップの相手役ナンシー・アレンを吹き替えている小宮和枝は、前述の安原義人と同じテアトル・エコーに籍を置くベテラン女性声優。特徴的なハスキーボイスで、ナンシー・アレン以外にも、ウーピー・ゴールドバーグ、キャシー・ベイツ、ジョーン・キューザック、バーブラ・ストライサンドなどの個性派女優たちを一手に担ってきた。
また、『ロボコップ[吹替版]』は、中村正(現役最長老格の名優。デヴィッド・ニーブン、ケイリー・グラントなどの紳士系スターや、『チャーリーズ・エンジェル』のチャーリーの声、『奥様は魔女』のオープニングナレーションでも知られる)、田中信夫(いぶし銀の大ベテラン。『コンバット』のヴィク・モロー、バート・レイノルズ、シドニー・ポワチエ、『川口浩探検隊』『警察24時』などのナレーション)、納谷悟朗(お馴染み、吹替界のキング・オブ・キングス)、石丸博也(ご存知、ジャッキー・チェン!)、富山敬(リック・モラニス、『猿の惑星』のロディ・マクドウォール、そしてアニメ『宇宙戦艦ヤマト』の古代進)、江原正士(演技派二枚目の代表格。トム・ハンクス、ウェズリー・スナイプスなど)、高島雅羅(デミ・ムーア、ジーナ・デイヴィス、ジュリア・ロバーツなど美人系女優を得意とするベテラン)、小川真司(マイケル・ダグラス、『007』4代目ボンド役ティモシー・ダルトンなど正統派二枚目スターを数多く担当した名声優)といった豪華メンバーが集結した吹替オールスター作品にもなっているので、そのあたりもお聴き逃しなく!


(以上、敬称略)


文=イマジカBS所属・吹替マニアのおじさん

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4月の放送作品

  • 荒野の七人 [吹替版]
    吹替偉人伝:小林修
    ユル・ブリンナーの専任を務め、『ローハイド』で主役フェイバーを吹替えお茶の間の人気者となるなど、吹替え草創期より近年まで第一線で活躍した偉人中の偉人。

    4月7日(金)23:15~

    荒野の七人 [吹替版]

    1960年 アメリカ
    監督:ジョン・スタージェス
    出演:ユル・ブリンナー(小林修)/スティーヴ・マックィーン(内海賢二)

    黒澤明の『七人の侍』をユル・ブリンナーら豪華キャストで西部劇化。メキシコ寒村で野盗に怯える村人を救うべく七人の凄腕ガンマンが結集する。小林修による吹替版。

  • 続・荒野の七人 [吹替版]
    吹替偉人伝:雨森雅司
    吹替え草創期から名脇役として活躍。ウォード・ボンドを専任で吹替えたほか、『天才バカボン』の初代バカボンのパパを吹替えたとしてその名を知られる。

    4月14日(金)23:00~

    続・荒野の七人 [吹替版]

    1966年 アメリカ
    監督:バート・ケネディ
    出演:ユル・ブリンナー(小林修)/ロバート・フラー(山田康雄)

    西部劇の大傑作『荒野の七人』の続編。かつて仲間とともに村を守るべく闘った男たちが、新たな仲間を集めて再び村を救うべく闘いに挑む姿を描く。小林修による吹替版。

  • 新・荒野の七人/馬上の決闘 [吹替版]
    吹替偉人伝:石塚運昇
    アニメでは『ポケットモンスター』のオーキド博士、洋画吹替えではリーアム・ニーソンやケヴィン・スペイシーなど数多くの持ち役を有する、現役の吹替偉人。

    4月21日(金)23:00~

    新・荒野の七人/馬上の決闘 [吹替版]

    1969年 アメリカ
    監督:ポール・ウェンドコス
    出演:ジョージ・ケネディ(石塚運昇)/モンテ・マーカム(山野井仁)

    『荒野の七人』シリーズ第3作。メキシコ政府軍に抵抗する革命軍の指導者を救い出すべく7人の男たちが立ち上がる。音楽はエルマー・バーンスタイン。石塚運昇による吹替版。

  • 荒野の七人/真昼の決闘 [吹替版]
    吹替偉人伝:納谷悟朗
    アニメ「ルパン三世」の銭形警部でお馴染みの名声優。低音の渋い声でチャールトン・ヘストン、リー・ヴァン・クリーフらたくましい男たちを数多く担当し、マカロニ・ウエスタンにはなくてはならない存在として、その人気を支えた。

    4月28日(金)23:15~

    荒野の七人/真昼の決闘 [吹替版]

    1972年 アメリカ
    監督:ジョージ・マッコーワン
    出演:リー・ヴァン・クリーフ(納谷悟朗)/マイケル・カラン(田中信夫)

    『荒野の七人』シリーズ最終作。第1作から10年後、保安官となったクリスが女性ばかりの村を守るべく新たな仲間を集めて立ち上がる。納谷悟朗による吹替版。

吹替マニアのおじさんによるコラム
珠玉の吹替オールスター作品『荒野の七人』からはじまるシリーズ全作連続放送!

春到来! 4月は、この1月にデンゼル・ワシントン主演によるリメイク作品『マグニフィセント・セブン』が公開され話題となった、本場アメリカ西部劇の傑作『荒野の七人』とその続編三作品が颯爽と登場する。

まずは記念すべき第一作、『荒野の七人[吹替版]』。吹替ファンにとって嬉しい吹替偉人オールスターキャストバージョンで、シリーズ連続放送の幕開けだ。
製作当時、リーダー格クリス役で主演のユル・ブリンナー以外…スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ヴォーンらは皆ブレイク前の無名俳優で、本作をきっかけにそれぞれ一線級のスターにのし上がっていくのだが、吹替版は後々スターになった彼らを専任で吹き替えた偉人たちが一堂に集結、夢の競演を果たしている。

以下、メイン7人とワルの親玉の総勢8人を一気にご紹介する。

小林修 = ユル・ブリンナー(クリス)
出世作となったTVシリーズ『ローハイド』のエリック・フレミング、そしてこのユル・ブリンナーで吹替声優として揺るぎない地位を確立。端正なバリトンで、秘めたる情熱と静かに意思を貫く真の男気を表現できる希少な偉人だった。ほかに、『ターザン』シリーズのジョニー・ワイズミュラー、初期『スター・トレック』シリーズのチャーリー役ジェームズ・ドゥーアン、『UFO時代のときめき飛行 アメリカン・ヒーロー』でコミカルなFBI捜査官を演じたロバート・カルプ、そして専任ではないがジョン・ウェイン、ジーン・ハックマン、マイケル・ケインなど大物たちの吹替も多く担当している。
内海賢二 = スティーヴ・マックィーン(ヴィン)
太くて力強い声を武器に、マックィーン以外にもヴィクター・マチュア、ウォーレン・オーツ、オリヴァー・リードなどの男っぽいスターたちを吹き替える一方で、サミー・デイヴィス・Jr、『ロッキー』シリーズのアポロ役カール・ウェザース、『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーンといった黒人系、さらには『ピンクパンサー』シリーズで主人公クルーゾー警部のとばっちりを受けていつも酷い目に遭う可笑しくも憐れな上司役ハーバート・ロムなどのコメディー演技でも卓越した技を見せつけた。アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』の則巻千兵衛も有名。
大塚周夫 = チャールズ・ブロンソン(オライリー)
一度聞いたら忘れないその特徴的な声で、ブロンソンの渋さ、リチャード・ウィドマークの不敵さ、ジャック・バランスの男臭さ、ピーター・セラーズのクレージーさ…と様々なタイプのスターたちを巧みに演じた実力派の偉人。アニメでも、『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男(初代)、『ルパン三世』の石川五右ヱ門(初代)、『チキチキマシン猛レース』のブラック魔王などなど多彩なキャラが並ぶ。
小林清志 = ジェームズ・コバーン(ブリット)
渋みと苦みを併せ持つ独特の声色で、異色の名優ジェームズ・コバーンはじめ、元祖ワイルドマッチョ系リー・マーヴィン、トミー・リー・ジョーンズなど、ともかくクールでタフな男たちを吹き替えたら右に出る者はいない。アニメでは『ルパン三世』の頼りになる相棒・次元大介が最も有名。ナレーターとしても古くから活躍、丸大ハムのTVCM「わんぱくでもいい、逞しく育ってほしい」という名コピーは誰もが知っている小林の代表作だろう。
矢島正明 = ロバート・ヴォーン(リー)
TVシリーズ『001ナポレオン・ソロ』のロバート・ヴォーン、そして『スター・トレック』シリーズのカーク艦長役ウイリアム・シャトナーを代表作に、吹替黎明期から活躍する偉人の一人。上品でソフトな天賦の美声を生かし、TVCM、国内外のドラマ、バラエティ番組などのナレーターとしても古くから活躍。『クイズタイムショック』『ベルトクイズQ&Q』の出題、UFO追跡ドキュメンタリーや『世界ふしぎ発見』のナレーション、「リポビタンD」「ネスカフェゴールドブレンド」のCMなど、日本人なら必ずどこかで、名ナレーター・矢島の声と名調子を一度は耳にしているにちがいない。
森山周一郎 = ブラッド・デクスター(ハリー)
貫禄と凄味のあるギャング声で、ジャン・ギャバン、リノ・ヴァンチュラといったヨーロッパを代表するギャングスターや、名優スペンサー・トレイシー、TVシリーズ『刑事コジャック』のテリー・サヴァラスなどを吹き替えてきた吹替界の重鎮。アニメにおける代表作、スタジオジブリ作品『紅の豚』の主役ポルコ・ロッソは、まさに吹替における得意芸を存分に生かしたアニメ映画史に残る名演技だった。声同様にギャング風の容姿で、俳優として悪役・敵役メインでTVドラマ・映画などにも数多く出演している。
井上真樹夫 = ホルスト・ブッフホルツ(チコ)
甘い二枚目ボイスで、『宇宙海賊キャプテンハーロック』のハーロック、『ルパン三世』の石川五右ヱ門(二代目)などアニメでの活動が目立つが、『ドビーの青春』のドビー役ドウェイン・ヒックマン、『ゴルディッツ大脱走』のモーン少佐役 アンソニー・ヴァレンタインなど海外TVドラマシリーズ草創期から吹替でも活躍。『HELP!四人はアイドル』のポール・マッカートニー、『地獄の戦線』のオーディ・マーフィ、『偉大な生涯の物語』ほかのデヴィッド・マッカラム、TV版『猿の惑星』の宇宙飛行士ピート役ジェームズ・ノートンなどがある。
穂積隆信 = イーライ・ウォラック(盗賊団のボス・カルベラ)
独特の押し潰したような声で、イーライ・ウォラックのほかにも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのクリストファー・ロイド、『刑事コロンボ』以外のピーター・フォーク、悪役に徹する時のデニス・ホッパーなど個性的かつ印象的な名脇役たちを演じることが多いが、稀に『真夜中のカーボーイ』のダスティン・ホフマン、『ゴッドファーザー』のジェームズ・カーンといった主役クラスを吹き替えたこともある。本業は『飛び出せ!青春』『われら青春!』の意地悪でセコい教頭先生はじめ主に悪役・敵役で活躍した俳優で、『積木くずし』の原作者としても有名。


続く第二作『続・荒野の七人[吹替版]』は、引き続き小林修=ユル・ブリンナーが同じクリス役で主演を務めているが、相方のヴィン役はマックィーンからロバート・フラーに交代、その吹替をレジェンド・山田康雄が担当している。そう、吹替ファンならすぐピンとくるだろうが、小林&山田といえばあの名作TVシリーズ『ローハイド』の名コンビである。山田は『ローハイド』で初めて、後に永遠のパートナーとなるイーストウッドを吹き替えた。奇しくも本作は、吹替版『ローハイド』へのオマージュとなっているのだ。
ところで、今回ワル側のボス、エミリオ・フェルナンデスを吹き替えている雨森雅司は、赤塚不二夫作の人気アニメ『天才バカボン』の初代パパ役であまりにも有名だが、吹替の世界では滝口順平富田耕生(ちなみに『天才バカボン』の二代目パパ役はこの人)と合わせて「3大名バイプレーヤー」と筆者が勝手に評している名声優。吹替史を脇から支えた偉大な功労者の一人なのである。滝口、富田ほどの強烈なインパクトには欠けるものの、ハスキーというかザラッとした感触の野太い声はかなり特徴的であり、滝口の粘っこさ、富田の熱さに対し、どこかクールで嫌味っぽい独特のセリフ回しをもって固有の存在感を示した。意外に芸域は広く、大物のワルから子悪党、セレブな紳士から庶民のオヤジまで、悪人役だろうと善人役だろうと器用に演じ分けることができる確かな「腕」を持った稀代のバイプレーヤーだった。本作のような西部劇やマカロニ・ウエスタンの悪役はお手のもので、役の大小や元の俳優を問わず頻繁に吹き替えているが、英国出身の個性的な名優ヒュー・グリフィス、西部劇の名脇役ウォード・ボンド、それにオーソン・ウェルズなどは専任に近い形で担当している。
全盛期には、滝口、富田、雨森の「3大名バイプレーヤー」は、映画・海外TVドラマの吹替にアニメとおびただしい数の仕事をこなしており、少し大袈裟かもしれないが彼らの「声」を聞かない日はなかったような、そんな気がする。現在の声優界、主役級偉人たちの後継者は大勢育ってきているが、「3大名バイプレーヤー」のような名脇役偉人たちの後を担う逸材があまり輩出していないのは誠に寂しい限りだ。


第三作『新・荒野の七人/馬上の決闘 [吹替版]』では、主役クリスがユル・ブリンナーから「エアポート」シリーズなどパニック映画の救世主役者として知られるジョージ・ケネディへとバトンタッチされた。そして、吹替を担当するのは現役ベテラン組の筆頭格・石塚運昇。石塚の特徴は、ズバリ、重低音のクセモノ。当イマジカBSでも放送されたTV『ハウス・オブ・カード 野望の階段』シリーズはじめケヴィン・スペイシーを近年ほぼ専任で吹き替えるようになっているが、低音系声優は数々いても何かしら腹の中で企んでいそうなクセモノ感を漂わせることにかけては石塚の右に出る者はおそらくいない。リュック・ベッソン監督『TAXi』シリーズのサミー・ナセリでも一筋縄ではいかないヒーロー像を作り上げ、リーアム・ニーソンやローレンス・フィッシュバーンでさえ普通と違う何かを漂わせてしまう、際立った個性を持つ達人である。


そして最終作『荒野の七人/真昼の決闘 [吹替版]』のクリス役は、な、なんとマカロニ・ウエスタンのトップスター、リー・ヴァン・クリーフに引き継がれている。吹替は勿論、吹替界のキング・オブ・キングス、納谷悟朗だ。リー・ヴァン・クリーフは、クラーク・ゲイブル、チャールトン・ヘストン、ジョン・ウェインと並ぶ納谷の代表作の一つ。ガンマンを引退した初老のクリスが、妻の復讐のため再び仲間を集めて立ち上がるというドラマティックな展開を、キング・納谷の名人芸が盛り上げる。


(以上、敬称略)


文=イマジカBS所属・吹替マニアのおじさん

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